第34章 60日目
「ジェイドさん……お見合い、してください…。」
勢いよく頭を下げてお二人にお願いする。
「どんなお写真で脅されてらっしゃるかはわかりませんが…その、私は、ジェイドさんと離れることより、ジェイドさんが他人に酷い目で見られるほうが嫌です。」
「ルルさん、これは私の問題ですから。
結婚まで決まっているのです。私はそれを望んでいません。」
いつもより怒っているジェイドさんがとても怖くて、思わず怯えてしまう。
「で、でも、立場が悪くなられるような脅しを…」
「愛する『女性』もそう言っているんだ。覚悟して来てくれたまえよ。」
ご主人様はそう言うとお部屋を出ていった。
「ルルさん、貴女は……」
「ジェイドさんも、他の大人の女性がいいんでしょ?」
ジェイドさんを突き放したくはないのに、この前の不安からついそんなことを言ってしまう。
もやもやとした気持ちが止まらなくなった。
「はい?」
「私みたいな幼稚な人より、魅力ある人の方がいいんでしょ?
いいですよ。無理に一緒にいなくても。」
「私には、貴女だけで…」
「こっ、この前の、大きい胸の女性のほうがいいと思いますよ!」
きっと昨日の香水の匂いや、正装も、お見合いや他の女性に会う口実で、この前の綺麗な女性に会っていたんだ。
考えが悪い方へ悪い方へ、どんどん進んで止まらない。
「いつも上手いこと言って…!本当は私なんて飽き飽きしてらっしゃるんでしょうっ!?」
「ルルさん…?」
私は泣きながら執務室を出た。
不安は確信へ変わって、私の中をぐるぐる回る。