第31章 58日目の緊迫
女性と話していたことがそこまで不快だったのだろうか。
しかし話しかしていない中で、何をこんなに真剣に怒っているのだろうか。
ルルさんの言葉をどうしても聞きたいのに上手く聞き出せず、もどかしい。
1つ、私の今の考えを聞いて納得してもらえないか、試しに話してみた。
「今、どちらの選択肢を選んでも、貴女を酷く傷付けてしまうんです。
待って頂けませんか?
一旦は結論を出しましたが、これがどう転ぶかわかりません。
信じて、私を待って下さい。」
「……わ、わかりました…。」
納得はしていないだろうが、真剣さは伝わったようだ。
ルルさんは私に背を向けて、気恥ずかしそうに小声で言う。
「私だって、出来るなら、ジェイドさんをお部屋に閉じ込めたいんですからね…。
かっこいいし、綺麗だし、優しいし、強いし……、すごく、すごく心配なんです…!」
彼女からこんな言葉が出てくるなんて、嬉しくて、そしてどことなく恥ずかしくて、赤面しているのを見られるのが嫌で、ぎゅっと抱き締めた。
「もう一回、言ってください。」
と耳元で震える声で言ってしまう。
「も、もう、言いません……。」
彼女もまた、震える声で答えた。