第4章 喧嘩
章ちゃんの言う通りだ。
望をいつまでも無視してたって、
なんにもいい事ない。
大体、望はこういうイザコザは
疎いし鈍感なんだから
だから、謝ろう。
そう決めて教室を出て数分。
二階渡り廊下の窓際、
寄りかかって外を眺める望の姿。
ああ、良かったと
手を小さくあげた
「のぞ、」
『のぞむくんっ』
でも私の声をかき消すように、
女の子たちが私にわざとぶつかって
押しのけ望に駆け寄って行った。
ざまあみろ、
ニヤリと笑ったその顔、その目が
そう私に言っているようであった。
望は私に気づいてないのかいるのか、
こちらを見る気配はない。
望「なに?今話す気分やないねんけど」
不機嫌なその声に、
少しびくっとしながらも
女の子たちは目一杯に笑顔を浮かべた
『なあ、今日こそ一緒にご飯食べへん?』
望「食べへん。あいつらと食う」
『あいつら、って中間さんも?』
望「当たり前やろ」
中間さん、とは私のことだ。
苛立ちが増したかのように、
眉間にシワを寄せる
『ええ〜。でも喧嘩中やんなぁ?
せやったら気まずくないの?』
望「カンケーないやろお前らに」
『ええやん別にぃ。なあ、ええやーん』
望「うざいし気持ち悪い。触んな」
跳ね除けられたその手、
悔しそうに唇噛み締め
彼女は望の両腕を掴んだ。