第10章 過去と未来【大和守安定】
目を覚ませばここは自分の部屋。
「ここは…」
「主、目が覚めましたか?」
「長谷部…私」
「急に倒れたので心配しましたよ…でもよかった」
「長谷部が私を?」
「ええ…他の者は桜が咲いたので宴を始めています」
「こんな時期外れに咲いたの?」
「はい…あと」
「あと?」
「大和守達…出陣部隊がまだ帰りません」
大和守…
「大和守って……誰の事?」
「主?」
「池田屋出陣の隊長は加州清光でしょ?」
「主…何を言って……すいません、少し離れます」
長谷部は部屋を出ると、私は1人になった。
「大和守……」
どこかで聞いた気がした。
知っている気がした。
でも、分からない。
思い出せない。