第20章 《裏》遊女ちゃんの初恋【土方十四郎】
ここは吉原。
私は、吉原で2から3番目をふらふらしている遊女だ。
夜王鳳仙が、ここを支配している。
こんな所、大嫌いだ
そんな風に、毎日に絶望していた私は、一回だけ、ほんの一回だけ、恋をした。一夜限りの夢だった。
でも、私にとって幸せな時間だった。
名前は…確か十四郎さん。新選組の方だ
"また会いたい"
そんな気持ちを押し殺して、今私は生きている。
そんなある日、
誰かが吉原の鎖を解いた。
今の吉原には、
自由が満ちている。
月詠「イ…オイ、夏希」
夏希「っ!あ、月詠。ごめんボーッとしてたわ。」
月詠「珍しいの。お主が考え事なんて」
夏希「アラ、そうかしら。ふふ、私だって考え事くらいするわよ。で、なんだっけ?」
月詠「今日、かぶき町の将軍が来るのじゃ。それで、吉原の上玉を用意しなければならんのじゃ。」
夏希「へぇ…。私も参加って事ね。私の相手は?将軍様かしら?」
月詠「いや、違う。お主の相手は護衛に着く新選組の奴らじゃ。」
夏希「新選組…。」
月詠「ん?ぬしも知っておるのか。」
夏希「えぇ。まぁね。」
月詠「その新選組の奴らとお主らで相手をしてもらうのじゃ。あぁ、宴会のようなものじゃ。」
夏希「そうね……。いいわ、楽しそう。」
私は少しだけ、十四郎さんに会えるか期待をしながら返事をした。