第1章 「春」~出会い~
ひま「か~え~る~の、う~た~が~…」
病室に太陽君のギターの音色と、私の歌声が響き渡る。
でも、太陽君の音色をかき消すように、私の歌声が重なる。
音程は全然とれていない…。
そう、私はすっごい音痴なのだ…。
ひま「き~こ~え~て~、く~る~…あれ?」
気がついたら、ギターの音が止まっていた。
太陽君は声を殺して、笑っている。
ひま「…!!も、もう!笑わないでよー」
太陽「わ、悪りぃ。くっくっ…、だ、だってこんなに音痴とは…ww」
こんなに笑われると思っていなかったから、私はとても恥ずかしかった。
ひま「笑わないって、言ったくせに~。」
私は口を尖らせて言った。
太陽「ごめん、ごめん。でも、ちゃんと練習すればうまくなるんじゃないか?お前、声綺麗だし。」
ひま「えっ?」
思ってもいない発言に驚いた。
「声が綺麗」なんて初めて言われたから。
太陽「オレのギターの練習に付き合ってくれないか?」
ひま「え!?でも、私すっごい音痴だし…」
太陽「オレが鍛えてあげるから、なっ?いいだろ?」
私はこんな自分でも太陽君の力になれるなら、できることをやりたいと思い。
ひま「わかった。んじゃ、よろしくお願いします。」
私は、心よく引き受けた。