第21章 縺れた糸が解ける時
「何だい?紬、調子悪そうだねえ」
「ははは…少し休ませてもらってもいいですか?」
仕事で外出していた紬が戻って直ぐに向かったのは『医務室』
与謝野の元だった。
「具合は?」
「寝不足なだけですから」
「………。」
顔色が優れない紬をみて顔をしかめる。
「眠れないほど何か考えてンのかい?」
「いや、真逆」
「……太宰が居るもんねぇ」
「そうですねぇ」
与謝野がベッドの横に椅子を持ってきて腰掛ける。
「何か悩みがあるなら吐いちまいな」
「……。」
与謝野の言葉に一瞬黙り込む。
そして、
「月のモノが予定より一週間ほど遅れて」
「周期が乱れることはあるさ。ここ数日の多忙さで狂ってる可能性は大きいけど……心当たりが?」
「有りすぎて」
「矢っ張り兄と一緒でモテるンだねえ」
ニヤリと笑っている与謝野に苦笑を返す。
「冗談キツいですよ。私は今まで一人の男としかシたこと無いです」
「へぇー。あのマフィアの重力使いかい?」
「!」
中也のことか?
「何故そう思うんです?」
「ん?敵のわりには仲良さそうだッたからねえ。中りだろう?」
「中りか外れかで云えば外れですが……そう見えましたか」
紬が少し落ち込む様にみえて首を傾げる。
「如何かしたかい?」
「いや…第三者から見てもそう思われるなら治が怒るのも無理はないと思って……」
「太宰は彼のこと嫌いみたいだもんねえ」
異能力について教えるときに色々云っていたことを思い出す。
「然し、彼じゃ無いとなると……国木田しか残らないけど」
「ははっ。それはもっと無いですねぇ」
苦笑して否定し、
「……居るでしょ。常に傍に居るのが」
「!」
ほぼほぼ、答えに等しい呟きをする紬。
「真逆、太宰と?」
「中りです」
「……そりゃ分からない訳だ」
「見えません?」
「見えないね、全く。谷崎兄妹の方が怪しいもンさ」
やれやれ。と云わんばかりに云う。
「私に云わせれば彼らは白と思いますけどね」
「何故?」
探偵社の誰もが黒だと思っている予想を真っ向否定する。
「何もしてないから、してもらいたくてナオミちゃんが仕掛けている様にしか見えない」
「成る程。一理あるね」
与謝野が納得する。