第3章 お好み焼き
「あっ、ごめん、女の子にかっこいいとか無神経だった!ちゃんのことは、本当に可愛いと思ってるよ?」
焦る様子になんだか笑ってしまう。
「あははっ。ありがとう」
「…教室でも、俺が笑わせてあげるから、もう気を張らなくて良いよ」
「…うん」
嬉しくて胸がきゅんとなる。
「よろしくね」
いつもの底抜けの明るい笑顔じゃなくて、優しく微笑む千石くん。
西陽が逆光になって、表情がさらに柔らかく見える。
繋いだままの手を引かれて身体が近付く。
「ちゃん、西陽が当たってきらきらして、すっごく綺麗」
頬に手が添えられて、心臓が早鐘を打つ。
赤いままの顔で千石くんが緊張した顔をしてる。
私は目を閉じる余裕もなくて、ただ千石くんを見つめてる。
ちゅ。
おでこに落ちたキス。
「これから、よろしくね」
「…ハイ」
手を握ったまま歩き出す。
うちに着くと、玄関先でたまたまお父さんと出くわして、千石くんは目をパチパチさせた。