• テキストサイズ

罪と罰【終わりのセラフ】

第18章 執着




優一郎
「あ、そうだな」


有無を言わせずに歩いて行くアリスに手を引かれる優。
そのお陰で優の気は逸れ、この話は予定通り食後にできそうだ。


クローリー
「ふぅ…」

「………」


面倒な事にならなくて済み、安堵しているとアリスが振り返った。
そして僕を見て少しだけ微笑む。


クローリー
「…はは」


アリスはすぐ前を向いてしまったが、それだけで僕には伝わった。
あの子は今すべきではない話と判断した事を察したのだ。

だから優の気を話から当初の目的である食事に切り替えさせたのだろう。
相変わらずよく人を見ている子だ。


シノア
「どうかしましたか?」


そんな事を思いながら去っていく2人の背中を見ていると声をかけられた。
喋りかけてきた人間、シノアの方を見る。


クローリー
「…何が?」

シノア
「凄く優しい顔をしているな、と」

クローリー
「………」


言われるまで気づけなかった。
すぐにいつも通りの表情に戻し、アリスの背を見送る。


クローリー
「まあ可愛い妹だからねぇ」

君月
「…妹」


適当に答えると別の人間が反応していたが、気にしなくていいだろう。


クローリー
「君達も行きなよ」


アリス達の姿はもう見えないので仕方なく残っていた人間達を誘導し、僕もキッチンへと向かった。
/ 646ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp