第18章 執着
優一郎
「それで分かる訳ないだろ!」
あまりにも雑な返事に優ちゃんが突っ込むが、それでもお兄ちゃんが手紙から目を離す気配はない。
「私が案内するよ」
クローリー
「ああ、助かる」
私の申し出にはこちらを見てくれた。
そんなお兄ちゃんに笑顔を返し、キッチンの方へと歩き始める。
優一郎
「じゃあ行くか!」
「…!」
すると私に追いついて来た優ちゃんがそっと手を握ってきた。
まるで昔に戻ったのか錯覚してしてしまいそうになる。
「………」
だからかは分からないが、私も自然と手を握り返していた。
*****
(クローリーside)
優一郎
「ミカも行くぞ」
ミカ
「…うん」
僕は彼らの会話を耳に入れながら手紙を読んでいた。
地下に優達の家族の死体があるから見せると優が暴走するかもしれない。
だから仲間を全員守りながら殺さず抑えきって、クローリーくんとだけ書いてあった手紙。
この内容を見て流石の僕も動揺しまう。
クローリー
「…冗談でしょ」
それも思わず声が出てしまう程にだ。
僕がここまで動揺する理由は彼が手紙に書いたある言葉。
クローリー
「仲間、か」
フェリドくんの言う仲間とはアリスはもちろんだが、彼が言いたいのは間違いなくこの人間達。
彼らの方を見ると、アリスと手を繋ぐ優と目が合った。