第18章 執着
答えると思っていなかった優ちゃんは驚いているが、お兄ちゃんは気にしない。
クローリー
「僕も人間だった時の方がたくさん殺した。比べたら吸血鬼は0と言っていいくらい殺さないよ」
優一郎
「んん?」
クローリー
「意味分かってないか…」
助けを求める様にこちらを見てきたので無理だと首を振る。
「優ちゃん難しい事は苦手だから」
クローリー
「はぁ…もういいよ」
それを聞いてどうでもよくなったのだろう。
手に持っている紙に再度目を落とした。
「それは?」
クローリー
「ああ、これ分かる?」
「手紙…?」
手渡された紙には日本語で短い文章が書いてある。
優ちゃんも内容を知りたい様で覗き込もうとしていたので声に出して読んだ。
「よくぞここまでたどり着いたクローリーくん。次の指令はなぞなぞで出そうと思う。赤い帽子を被ると背が低くなる物はなーんだ…?」
差出人は手紙には書いていないが、恐らくフェリド。
「…難しい」
優一郎
「赤い帽子を被ると背が低く…ってこんなの簡単だろ」
私とお兄ちゃんが分からず悩んでいるのに優ちゃんは分かったらしい。
「本当に分かったの?」
優一郎
「だってロウソクだろ?」
「…!」
答えを聞いてこのなぞなぞの意味がわかった。
赤い帽子とは火の事で、火が灯されていると蝋が溶けて短くなるのでロウソクという訳だ。