第18章 執着
クローリー
「ああ、確かアリスが貴族になる確認に来たのは五位の誰かだったね」
「うん」
あの時は主としてフェリドが一緒にいたからお兄ちゃんは誰が来たのか知らない。
クローリー
「そいつの名前覚えてる?」
「キ・ルクって男」
クローリー
「ああ、そいつだよ」
「げっ…」
彼は上位始祖なのに気取ってなく、フェリドと普通に話していた。
貴族にしては珍しく話しやすい吸血鬼だったが、フェリドと同じ狂気を抱えている様な印象を持っている。
「……」
鳴海
「な、なんだ…?」
改めてフェリド達の救出に行くメンバーを確認。
先程の戦闘の様子や、個々の武器の能力を見てから確信した。
「無理でしょ」
君月
「何がだ?」
「あなた達では到底勝てない。断言できる」
ピシャリと言い放った言葉に人間達は目を見張る。
優一郎
「だから強くなって…」
「そんな時間あるの?」
優ちゃん達は吸血鬼をなめている。
負けても人間は日本帝鬼軍の情報の為に生かされるが、私とお兄ちゃんは裏切り者だと絶対に殺されてしまう。
「ちゃんと人選していかないと、お兄ちゃんも私もこんな所で死ねないから」
クローリー
「………」
私の発言を否定しなかったお兄ちゃん。
何も言わないが、どうするつもりなのか顔を見る。
ミカ
「…アリス」