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【イケメン王宮】星の導きのままに。

第2章 プリンセス選定






まさか自分にも届くとは思っていなかった。







早朝、自室に戻ったイリアは

ポストに一通の手紙が入っていることに気付いた。



ポストを開けるのは2日ぶりだ。



今まで受け取ったことのないような上質な真っ白な封書。

深い赤の封印は、少し金の粉が混ざっているようだ。

普通の封書ではないことは一目瞭然だ。




「何これ…」



間違いかな?と、再度宛名を確かめるも、そこにはちゃんとイリアの名前が書いてあった。



美しい字だった。



中に書かれた文章を読んで

イリアの目は丸く見開かれる。





(…プリンセス…選定会の…)



招待状に書かれた日付は

週明けだった。

つまり明日。



(今日だったら追い返されてたかも…)



自分でも感じられるほどの夕べのお酒の匂いと

葉巻の煙の匂いと

…シドの香水の移り香。





(プリンセス…かぁ…)




浅く短い眠りだった身体は予想以上に重たく

自室に入るなりイリアはソファに倒れこんだ。




(プリンセスに選ばれたら…)


知りたくない未来を知ろうとすることもなく

どうでもいい他人の未来を見ることもなく



王子様に愛されて

幸せに暮らせるのだろうか




それともやっぱり

未来を知ろうとすることからは

逃れられないのか…




顔に降りかかる髪は

いつもと違う石鹸の香りがする。



それだけで

シドとの夜の感触が、空気が

身体を包む。



「あー…寝よ」



それを振り払うように

沈む身体に寄り添うように

イリアは意識も深い奥底へ沈めていった。














イリアは代々星詠みの家系であったため
イリアの母も、祖母も、有能な星詠み師であった。



祖母は今でも現役で星詠みをしているが
今はネープルズに住んでいるためもう何年も会っていない。


母はイリアが幼いころに亡くなった。


なんでも母は、星詠みより未来予知の力に優れていたため
力を使いすぎて命を縮めてしまったのだという。



ウィスタリアの辺境で祖母に育てられ過ごしていたが
イリアの独立と同時に祖母はネープルズに呼ばれ、今に至る。


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