第7章 宮廷星詠み師
正式に王宮に仕えることになったイリアだが
実質的には、ジルの「秘書」という形を取ることになった。
国王陛下の了承は得られたのだが、
星詠みや占い、ましてや「未来予知」という
目に見えない力を公にするには
官僚たちやその他国政に影響のある貴族や重鎮たちを
全員納得させねばならない。
かつて占星術を積極的に政へ取りいれていた国もあったが
ウィスタリアはそれに該当しなかった。
そのため、表向きは「ジルの秘書」として
公務を手伝う傍ら、星を詠んだりアドバイスをする、という形に落ち着いたのだった。
イリアが「星詠み師」として活動していることを知っているのは
ジル、シド、レオの三人だった。
……そして今夜
もう一人の人物に、それがばれることになる。
イリアが王宮に来て
約ひと月が経った頃のことだ。