第4章 回避【R-18】
イリアは心の中を読まれたのかと思い、心臓が跳ね上がった。
「あれ、ジルのこと忘れちゃった?」
「い、いいえ…!あ、よ、良かったです」
顔が紅潮していくのはこの陽気のせい…
イリアは自分で自分に言い訳をした。
「そういえば…先日パーティが催されたとか…?」
話を変えようとイリアは話題を振った。
「あーうん。プリンセスの交流会だね…」
「無事、終わりましたか?」
無意識のうちに、イリアは未来予知の結末が気になり、そう聞いてしまった。
レオは少し沈黙したが、顔色を変えずに答える。
「……うん、滞りなくね」
明るい日差しの照りつける大通りまであと少し、というところでレオはイリアに向き直った。
「ねぇ、イリアちゃんってさぁ……
……シドの彼女なの??」
突然、レオから思いもよらぬ人の名前が出てきて
イリアは目を丸くした。
「……ち、違います!!
シドは………取引相手だったり、依頼されたり…
とにかく、仕事の付き合いだけです」
ふうん、とレオは呟いて笑みを作る。
「…だから、パーティのこと知ってたの?」
「え?」
微笑むレオの緋色の瞳は笑っていなかった。
「あれって…貴族の男性向けに催されたパーティだよ?それを…君がなぜ知ってるのかな、と思ってさ」
「…それは……」
レオは建物の壁にイリアを追い詰めると、壁に手をついた。
「ただの仕事仲間でも、シドはパーティに出るとかイリアちゃんに教えるの?」
「………」
返答に困り、レオの顔を見られずに俯いていると
レオに顎を掴まれ、無理やり顔を上げさせられた。
「…っ」
「しかもさっきの口振りじゃ…まるでパーティで何か起こったのを知っているようだったけど…」
(…ヤバい、完全に疑われてる……)
レオの顔が吐息のかかる距離に迫ってきて
さらにイリアの鼓動が早鐘を打つ。
「……イリアちゃんって、何者なの?」
緋色の瞳が徐々に迫ってきて……
その瞬間。
「……何やってんだ、お前ら」