第4章 回避【R-18】
すっかり明るくなった部屋で抱かれるのは
正直慣れていなかった。
シドは全く気にしていないようだったが
イリアは意識してしまっているせいか
ただ抱きしめられているだけなのに
もうすでに身体の奥が甘くしびれているのを感じていた。
ベッドに腰掛け
後ろから抱きしめられている形になると
シドの吐息はイリアの耳元で
ふわりとブルネットの髪を優しく揺らした。
「俺がいねえ間、どうしてた」
「……ん、」
掠れた声が吐息とともに耳元を甘く愛撫し
全身に快感が広がる。
「……仕事…してたけど……んあっ!」
いきなり生温かい舌がイリアの耳を覆う。
「……ひあぁっ……シ、ド…」
「つまんねえ答え方すんな。どうやって慰めてた?」
そんなことはしていない。
本当に仕事は忙しかった。
シドのぬくもりは恋しかったけれど
シドのことを本気にしないようにしていたイリアにとっては
ある種の苦しみから解放されていたのも事実だった。
「慰めて…なんか……あぁっ…」
シドの舌は激しくイリアの耳を犯し、そのまま首筋へと降りていく。
「シド…ぉっ…」
そのまま首筋が強く吸われ、赤い花が散る。
シドにしては珍しい行為だった。
あれだけ毎日のように
ジルの瞳の色を探して見上げていたのに
今はもう体中が
シドの熱で満たされ
シドの身体が
欲しくて仕方がない。
シド自身が
欲しくてたまらない。
そんな自分が
どうしようもなく穢れているようで…。
「……シド……欲しい…」
「あ?何が?」
分かっていて意地悪に返しながら
シドはイリアの首筋を愛撫し続けた。
「シド…お願い……あぁっ……」
久しぶりに身体を支配する快感が
うまく言葉を紡がせてくれない。
イリアの胸の頂を荒々しくもみしだく
大きな手とたくましい腕が
朝日の溢れる明るい部屋の中、はっきりと見える。
それがいつもよりもいやらしく目に映り
余計に何も考えられなくなってしまう。
(シド…シド……)
このまま本気で愛せたらどんなに楽だろう
今だけでいい
果てるまでの短い間だけでいいから…
(シドの…女でいさせて……)