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【イケメン王宮】星の導きのままに。

第1章 夜【R-18】 




僅かな、葉巻の香りと。


いつも身にまとっている香水の残り香。





つい2,3日前にも訪れたばかりのこの部屋の香り。

何度来ても、胸の高ぶりが抑えられなくなる。



「…あ、ちょっと…」


部屋に入るなり、後ろから抱きしめられる。

耳元にかかる吐息が全身を甘くしびれさせる。


さっきまで飲んでいたウィスキーの香りが

イリアの酔いを深めていく。




絡められた腕が、イリアの身体を服の上からまさぐる。

いつも荒っぽく、強引で、優しさのかけらも感じられない。




「…ねぇ、ちょっと待って…シド」




でも、シドのそんなやり方が

イリアは好きでたまらなかった。




「…シドってば…シャワーくらい…」

「…るせぇな…」

耳元で掠れた声が聞こえると、もう逆らうことも抗うこともできない。

あっという間に服は床に脱ぎ落され、イリアは裸のまま後ろから抱きかかえられた。


イリアは特別小柄なわけではなかったが、大柄なシドの前ではまるで少女のようだった。


ドサリと乱暴にベッドに下ろされ、イリアは潤んだまなざしでシドを見上げる。


「…たまんねぇな」


見下ろすシドはシャツを脱ぎ捨て、無防備なイリアを組み敷いた。



「…ね、いいの……?」

熱気あふれる週末の酒場でさんざん酒をあおり合い、汗ばんだ身体でイリアは尋ねる。

「お互い様だろ」

「ん、そうなんだけど…」

「あ?嫌かよ?」


このやりとり、初めてではない。

答えがわかっていて敢えて聞いているシドは、にやりと笑いながらイリアを見つめる。


イリアは自分の顔が紅潮していくのがわかっていた。


「……やめないで」


本当はこのままの方が好き。

シドの香りを強く感じられるから。



「……あっ」


何も言わずに唇をふさがれ、意識が一気に飛びそうになる。


絡められる舌から、強く感じる葉巻の苦み。

それも含めて…本当は大好きだけど。



…イリアはいつもその気持ちを深追いしないようにしていた。



(本気になっちゃだめ)


舌が絡め取られ、息が上がっていく。


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