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【イケメン王宮】星の導きのままに。

第14章 誘拐



「気分はいかがですか」

「大丈夫です……少しだけ身体が痛みますが」

「少しではないでしょう……」


ジルは苦しげに眉根を寄せ
包帯の巻かれた手首を手に取った。



「ジル…」

「はい」

「助けに来てくださって、ありがとうございます…」

ジルははっとなり顔を上げた。

榛色の瞳から
涙が溢れていた。


ジルは愛おしげに
ブルネットの髪を撫でた。


「……王宮会議にかけられ罪人にされるかもしれない、と言われました」


「そのようなことは決して…」

ジルの言葉を遮るようにイリアは続ける。


「私はそれでも……貴方とみんなの待つ……王宮に……ウィスタリアに…帰りたいです」


「イリア…」


「ジルの…そばに……いさせてくださ……」


言い終わらないうちに
ジルはイリアの唇を塞いだ。



優しく
甘い口づけは

角度を変えて、何度も何度も重ねられた。



「……ん…んん」


ジルの温かく大きな手が
イリアの両頬をそっと包み込む。





キスの雨がやみ
そっと離れた唇から言葉が紡がれる。




「貴女のいない未来など私には必要ありません」


イリアの頬が赤く染まる。


「もう二度と貴女を危険な目にあわせないと誓います…この命にかけて」


「ジル…」


「王宮会議の件は大丈夫…貴女は何も心配せず、身体を治すことだけを考えていて下さい」 


額を重ね
ジルは優しく言った。


コンコンコン…


部屋の扉をノックする音が響いた。



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