第11章 謹慎 2
家康「何でこんな事に・・・」
はぁぁっと何度目か分からない溜息を吐く
カラッと襖を開き部屋に入り褥の横に座る
苦しそうな息遣いの萩の額に触れてみる
家康「まだ熱い・・・」
萩は家康の御殿で寝込んでいた
一昨日の事、信玄とのキス騒動が信長に知られてしまい
信長「見張りは家康、お前がしろ」
家康「・・・分かりました」
至極めんどくさいと言うように返事をしたが心の中では
(俺以外の奴に萩の見張りさせる訳無いでしょ)
とほくそ笑んでいた
そのあと家康の御殿にやって来た萩は『わさび』と楽しそうに遊んでいた
暫くしてから様子を見に来るとなぜか萩はずぶ濡れになっていた
家康「・・・何で濡れてるの?」
萩「わさびと遊んでたら池に落ちちゃったの」
溜息を吐きながら家康は女中を呼び湯あみをさせる事にした
次の日になり萩が起きてこないと女中に言われ様子を見に行くと高熱を出していた
そして今に至るのである
萩「んっ・・・寒い・・・」
家康「寒いの?ちょっと待って」
箪笥から羽織取り出し萩にかける
家康「政宗さんが御飯作って・・・」
政宗「飯出来たぞ、池に落ちて熱が出たって?」
カラッと襖が開き政宗が膳を持って入ってきた
家康「ありがとうございます政宗さん」
政宗「いいや、夜の分の作ってある温めて食わせてやれ
じゃあな俺は仕事に戻る」
ちゃんと食えよっと言い残し足早に去っていった
家康「起こすよ」
家康は萩の頭を膝に乗せ口元にお粥を差し出す
家康「はい。口開けて」
意識が朦朧としながらも萩は言われた通りに薄く口を開く
萩「っん」
口の端からお粥がこぼれていく
家康「ちゃんと食べないと薬飲めないでしょ」
人差し指で口の端にこぼれたお粥を掬い取る
家康「はぁ・・・。これは人命救助だからね?」
そう呟くとお粥を掬い自分の口に含む