第10章 謹慎 1
小十郎「こちらが政宗さまのお部屋で御座います」
萩「ありがとう、ねえ小十郎さん」
小十郎「何でしょうか萩様?」
萩は小十郎に敬語は要らないと言うが
小十郎「とんでもない!本来ならお声をかける事も許されないのです!?」
萩「んーじゃあ敬語でも良いから話し相手になってね」
小十郎「えっ!?」
(俺が言ったこと分かって無いのでしょうか?)
声をかけるのも許されな=話しをしてはいけない、なのだが
萩はニコニコしながら話し相手になってと言う
萩「駄目かな?」
上目遣いに見上げてくる瞳に小十郎は頬を染め
小十郎「あの・・・わ、私でよければお相手させていただきます」
了解したのだった
政宗「何やってんだ?」
開いた襖の向こうにイラッとした顔の政宗が茶菓子を持って立っていた
小十郎「政宗様!?」
赤い顔がみるみる青くなる、しかし気づかぬ萩は嬉しそうに答える
萩「あのね小十郎さんに話し相手になってねってお願いしてたの」
政宗「信玄の次は小十郎か・・・・・」
萩「えっ?何か言った?」
政宗「いや、小十郎ご苦労だった下がっていいぞ
それと、暫くここに誰も近づけるな」
小十郎「はっ!」
一礼をして襖を閉めて去っていった
萩「ねえ、ここで私は何をしたらいいの?」
政宗「んーそうだな今日は仕事も終わった(小十郎のおかげで)とくにする事はねえな。そうだこれ食え」
先ほど持ってきた茶菓子の饅頭を萩に差し出す
萩「お饅頭だ!もしかしてこれも政宗が作ったの?」
口いっぱいに饅頭をほうばりながら聞く
政宗「ああ、旨いか?」
萩「うん!美味しいよ」
政宗「じゃあ俺の分も食え」
萩「ありがとう」
一つを食べ終えて二つ目に伸ばした手が止まる
(あれ?可笑しい、何かフワフワする)
政宗「萩?」
萩「まさむねー」
突然萩が政宗にギュッと抱き着いてきた
政宗「っと、どうした萩?」
よろけながらも抱き止め顔を覗き込むと
少し赤い顔をしてふにゃっと笑う