第25章 小谷城 6日目
昨夜は小谷城には帰らず菻のそばに居た
お城では急に消えた萩を家臣総出で探していた
長政「まだ萩姫は見つからぬのか!!」
赤尾「申し訳ありませぬ」
八重「長政様、朝早くから何の騒ぎですか?」
珍しく八重がお菊と共に広間に入って来た
長政「ああ八重か。いやちょっとな・・・」
赤尾「そういえば昨日お菊殿は萩様のお部屋に行かれたと女中からお聞きしましたが如何用で?」
長政「それはまことか!」
お菊「え?はい確かにお伺いいたしましたが・・・」
赤尾「質問に答えていただこう
いったいどんな用で八重姫付きのお菊殿が萩様のお部屋へ行ったのか!」
お菊「あ・・の・・・甘味を届けに・・・」
長政「甘味?」
八重「はい。以前萩様は甘味がお好きとお伺いいたしましたのでわたくしがお菊に届けるよう言いましたの」
ニッコリ微笑み動揺するお菊の前に進み出た
赤尾「お菊殿・・・何か隠してござらんか?
本当に甘味を届けただけか?」
疑いの眼差しをお菊に向けるとビクッと肩を震わす
それを見逃さなかった赤尾はさらに追及しようと口を開こうとした
萩「おはようございます長政様
皆さんお揃いでいかが致しましたか?」
長政「姫!!ご無事でしたか!?」
広間にひょっこり顔を出した萩に長政は駆け寄り抱きしめた
長政「昨日からお姿が見えなくて心配いたしました」
萩「まあ!ごめんなさい長政様ちょっと諸私情で留守にしておりました」
長政「諸私情ですか?」
萩「はい。諸私情です
ああでも、八重姫とお菊さんなら理由はお分かりになるかと思いますよ?」
ねえそうですよね?長政から離れ黒い笑みを向けた
固まり冷や汗を流す二人
長政「そうなのか?八重は知っていたのになぜ私に黙っていた」
八重「知りません!わたくしは何も知りませんわ!?
萩様が勝手に言っているだけですわ!」
お菊「わ、私も知りません!」
萩「あらそうですか?私の気のせいでしたか
あっそうそう八重姫、昨日の甘味ありがとうございましたとても美味しくて体が痺れるほど感激いたしましたよ?」