第20章 小谷城
萩「はぁ・・・何で私ここに居るんだろう」
ここは浅井長政が治めている近江にある小谷城の一室
小谷山から南の尾根筋に築かれた城でとても見晴らしが良い
ふと部屋の隅に目を向ければ安土を発つ時に家康から貰った薬の入った袋がぽつんと置かれていた
『何かあったら使うように』と解毒薬を渡されたのだ
萩「何もなければいいんだけどな」
もう一度溜息を吐き萩は城下を見下ろし数日前の事を思い出していた
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長政「噂通りのお美しい姫君ですね
是非我城へ連れ帰りたい」
この言葉に全員が長政に殺気を放った
長政は放たれる殺気を気にする気配は
微塵も感じさせずにこやかに座っている
一方、後ろに付き従っている家臣の赤尾清綱は額に汗を浮かばせ青くなっていた
萩「み、みんな落ち着いて?」
萩がみんなを落ち着かせようと声をかけるも
政宗「お前いきなりに言ってやがる」
家康「頭大丈夫なの?」
秀吉「今日会ったばかりの奴の城に萩が行くわけない」
光秀「ありえんな」
三成「ええ、萩様が行くとは思えません」
そんな中信長が放った言葉は
信長「いいだろう」
萩「兄様!?」
秀吉「の、信長様!本気ですか!?」
信長「但し期限は10日間だ
その10日間で萩が貴様に靡く様なら
輿入れを認めてやろう
無理な時は金輪際萩に近づく事は許さん」
長政「はい。ありがとうございます
必ずや私の虜にさせていただきます
よろしくお願いいたします、姫様」
萩「ええっと・・・よ、よろしく?」
どう答えたら良いかわからず取り敢えずよろしくと答えた
信長「萩、長政について小谷城に行け」
萩「はい。かしこまりました兄様」