第2章 奇妙な出逢い
深夜のスーパーでいつものようにレジを打つ。人気のないスーパーでピッピッ、と商品のバーコードを読み取るリズムはもはや機械的。
昼間は会社勤めのOL、深夜はこうやってスーパーでアルバイトをしている。もちろん会社には内緒で。
いつものように頭の中で次に行う動作を1度台詞のように考える。
缶ビールが2本と、刺身の盛り合わせ、これは50%オフ、ブラックペッパーのチーズで、…ああ、この人。私と趣味の合う人だ。
深夜のスーパーに来店するお客なんてそうそういるものではなく、顔を見なくても購入するものでいつもの人だとわかるものだ。
この人もそう、常連のお刺身さん。(実はこうやってあだ名をつけるしか、退屈な深夜を乗り切る方法がない。)必ずお酒と刺身を購入してくれる、常連のお刺身さん。
いつもの帽子を深く被り、マスクをしてくる常連のお刺身さんは凄く寒がりだ。でも少しだけ覗く大きな目が優しく細くなって、必ず「お疲れ様です。」と一言だけ残して帰っていく人。