どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】
第8章 君の理由
サトツさんが走るような速さで歩きながら、受験者に向け話し掛ける。受験者の多くは、彼の言葉の意図をはかりかねているように見えた。
「二次……?ってことは一次は?」
黒い服を着たスキンヘッドの男が、サトツさんに尋ねる。
『あれは……ハンゾー?』
こちらからでは後ろ姿がちらちらとしか見えないが、多分彼で合っている。気さくな印象の声が、余計にそうだと思わせた。
「もう始まってございます」
サトツさんが、少しだけ振り返り答える。
「二次試験会場まで私について来ること。これが一次試験でございます。場所や到着時間はお答えできません。ただ私について来て頂きます」
とうとう受験者全員が走り始める中で、先頭のサトツさんは悠然と歩きながらそう伝えた。
「なるほどな……」
「変なテストだね」
「さしずめ持久力試験ってことか。望むところだ、どこまででもついて行ってやるぜ」
クラピカ、ゴン、レオリオが、それぞれにこの試験への印象を口走る。
クラピカは、この試験によって試されるのが体力のみでは無いことを、今の発言で理解したようだった。
「ずっと走るだけってコトでしょ?たるいわ」
「そうかい?その分親睦を深められそうじゃないか」
「シンボクを深めるゥ?」
サキは、その言葉が似合わなさすぎる奇術師を眉を寄せ見上げた。
「そんな目で見つめないでおくれよ。興奮するじゃないか」
「変態は近寄らないでくれます?」