どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】
第7章 一次試験、開始
「どっちって言われてもなァ〜」
二人の剣幕に、わりと真剣に悩んでいるらしいゴンが眉をしかめる。
いや、“悩む”という表現は正しくないかも知れない。と、私は不意に思った。
ゴンは、彼の父親──ジンの魅せられた仕事を、その世界を知りたいと思って飛び出してきたのだ。
となると当然、彼の目的はハンターになることだろうが……それは多分、彼にとって通過地点でしかなく、むしろハンターになった後、彼の前にどんな景色が見えるのか、彼自身が知りたいと思っているのではなかろうか。
だから、“悩む”というよりはむしろ、“答えようがない”のではないか。
チンッ。
そんなことを考えているところに、簡単な電子音が地下100階への到着を告げる。
「話の続きは後だ!!」
そう、レオリオが言った。
どうやら先程の口論は、一時収束したらしい。
エレベーターの扉が、重たそうにゆっくりと開く。
──薄暗い。
私が最初に覚えた印象はそれだった。
会場である地下道は光源が少ないようで、数センチ開いた扉の先が薄く灰色がかって見えた。
扉は、更に開いてゆく。
その向こう側に、400人を超える受験者たちの人影と、その視線を感じた。
私達をただ確認するだけの、それ以上でも、それ以下でもない、そんな視線。
ふい、とすぐに外されるそれらに、私は彼らが、いわゆるその辺のゴロツキとは違うのだと、身を持って感じた。
レオリオもクラピカも、緊張した表情を浮かべている。
サキが最後にエレベーターを降りると、背後でゆっくりと扉が閉じた。
「はい、どうぞ」
下の方から声が聞こえそちらを見ると、緑色の顔をした3等身の人(?)──ビーンズさんだ──がレオリオを見上げ、丸いナンバープレートを手渡しているところだった。
私達は、そのナンバープレートを順に受け取る。
『406番……予定通りね』