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どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】

第2章 彼らの世界へ


「ハンター、文字」

思わずぼそりと呟く。道中、彼越しに眺めた店々の看板が、次々と脳内に蘇った。個人のいたずらでどうにか出来る範疇を超えている。
見覚えのない街、1998年、ヒソカ=モロウ、ハンター文字──散々否定してきたけれど、認めざるを得ないらしい。

ここは、HUNTER×HUNTERの世界だ。
目の前にいるのは、あの“ヒソカ”だ。

頭がぐるぐると回転している感じがする。
ここがHUNTER×HUNTERの世界と言うなら、いわゆる5次元とか並行世界とかいうヤツに近いのだろうか。厳密には違う気がするが。それにまだ夢の可能性も捨て切れない……いや、今そんな事はどうだっていい。
1998年ということは、一体どの時間軸だろう。ハンター試験は、年明けすぐだった気がする。ゴン達がハンター試験を受けるのは……来年?再来年?それとも今年だった?記憶がハッキリしない。
HUNTER×HUNTERは今でも好きな漫画の一つだけれど、思えば最後にきちんと読み返したのは一体いつになるだろう。何ヶ月、いや、何年前?
そんな事を考えていると、ウェイターがグラスにシャンパンを注いでくれていた。

「考えはまとまりそうかい?」

ヒソカさんが、目を細めながら言う。

「ああごめんなさい!折角招待してくださったのに、私ったらずっと考え込んで……!」

本当に失礼な事だ。怒ったって当然だし、ヒソカさんがあの“ヒソカ”だとしたら(いやもうほぼ確定なのだけれど)殺されたっておかしくない。まぁ、今更自分の生き死ににそこまでこだわりは無いのだけれど。

「構わないよ。それはそれで、君の顔色の七変化を楽しめたからさ」

「私、そんな分かり易かったですか」

「うん」

あー恥ずかしい!!だって仕方ないじゃないですか!誰だってこの状況になればパニクりますって!平常心で居られるわけがありませんって!!これでも冷静な方?ですって多分!!!
そう心の中で叫んでいると、ヒソカさんがシャンパングラスを持ち上げる。私もはっとして、自分のグラスを持ち上げた。

「今日の出会いに乾杯」

「……乾杯」

ちょっと言い回しが臭いのは、もはやヒソカさんの癖なのだろうと思う。慣れるしかない。
シャンパンに口を付けると、焼きたてのブリオッシュの様な香ばしさ、フレッシュな酸味にすっきりとした甘みが広がる。

「おいしい……!」

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