どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】
第6章 新たな出会い
『真っ昼間なのに暗いし、拳大の石がゴロゴロ転がってるし、あーあ、もうちょっと整備してくんないかしら』
ドーレ港から一本杉を目指す最中、サキが道のど真ん中に我が物顔で鎮座している石を蹴飛ばす。
『二択クイズの街からもう4時間ほど歩いてますから……キリコさんの家はもう目と鼻の先のはずです!頑張ってください!!』
端的に言うと、次の日目を覚ました私は、何事もなかったかのように再びサキと入れ替わっていた。
そして彼女に、ヒソカの部屋でまた不用意に眠ったのかとお叱りを受けた(大いに反省した)。
また、この約2週間彼女と共同生活を行い、幾つか気付いた事がある。
それは、彼女が住処をよく変えるらしいという事と、何やら幾つか会社を持っているらしい?という事、あとは殊の外お風呂好きである事に、日によってがらりと服やメイクを変えてくる事──因みに今日は小さめのリュックを背負い、スニーカーとハイウエストのダメージデニムパンツを履き、オフショルダーのピッタリした白いTシャツに細く小さいゴールドのネックレスを合わせた出で立ちで、結構カジュアルな印象である。個人的には、ちょっと肩が出過ぎだと思うのだが──、そして最後にもう一つ、彼女から私への“入れ替わり”が18時丁度に起こり、その状態は私が眠るまで継続するという事だ。これは、彼女の希望から3日ほど徹夜した為、まず間違いない(ただし二度としたくない)。
そしてその間、彼女が目覚めることは、やはり無かった。
なので、18時以降の出来事は、翌朝彼女に報告するのが最近の日課になっていた。と言っても、18時以降はヒソカに稽古を付けてもらい、程々の所でホテルに帰っていたから、報告する事は多くなかったのだけれど。
『まぁ、そりゃあココまではアンタの言う通りだったワケだけどさぁ~』
歩き疲れたという訳でも無いのだろうが、代わり映えのない景色にサキは大きく欠伸をする。
「……あ」
と、サキと私の声が重なった。
遠く開けた道の先に、巨大な杉の幹と山小屋が見えたからだ。