どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】
第5章 素性
そう言葉を掛けても応答はない。
ヒソカが、サキの肩に手を掛ける。
「サキ?」
彼が顔を覗き込むので、私はふっと視線を上げた。すると──
ぬるり
視線と一緒に、眼球が動く。私はぎょっとして、ぱっと目元に手を当てた。
「え」
声が出る。私は、当てた手をゆっくりと離し、その手のひらを見つめた。
恐る恐る手を握り、開く。
──動かせる。
ドクドクと、心臓の鼓動が速まってゆく。
なんで?どうして?サキは?
……まさか私、無意識に乗っ取ってしまった?
そう思い至った途端、身体が芯から震えた。
ばっと顔を上げ、ヒソカと目を合わせる。
「どうしよう、サキが……!」
私は携帯を持つ両手を、胸の前できつく握り合わせた。