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どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】

第5章 素性


辿り着いたその病院は、外科に重きを置いた印象の総合病院だった。

「急患よ。恐らく多量に内出血してるわ。内臓を損傷してる可能性もある。死ぬ前に診てちょうだい」

そう言って彼女は、ヒソカが担ぐ男性を病院側に引き渡す。ぐったりした様子の男性は、簡易的なベッドに乗せられ運ばれていった。不意にその様子が、昔運び込んだ父と重なる。

『はー、終わった終わった!』

彼女は両手の指を組んで伸びをした。
視界の端では、看護師達が深刻そうな表情で何かやり取りをしている。

「彼はご友人ですか?これまでの様子など、少しお話を伺いたいのですが」

一人の看護師が、私達にそう問いかけた。

「いいえ、通りすがりの赤の他人です。喧嘩して伸びてる所を連れて来ただけ。様子が急変したのは5分ほど前ね。詳しいことはコイツに聞いて下さい」

彼女は淡々と事実だけを述べ、ヒソカを親指で差す。看護師の顔が、少しばかり引きつった。遠くで別の看護師が、駆け足に廊下を行ったり来たりしている。

『……そんなに気になる?』

彼女にそう問われて、私は自分が落ち着かない気持ちでいることに気付いた。

『あたし達にできることは、もう無いわよ』

それは分かっているのだけれど、と床を見る。彼女は、はぁ、とため息をついた。

『全然分かってないでしょ』

彼女の言う通り、頭で理解していても心はざわついたまま。あの人は助かるんだろうか?このまま立ち去ってしまえば、それさえ分からず終いになってしまうだろう。なんて考え込む私を、彼女は呆れたように眺めた。

「それではお二人とも、付き添われない、ということでよろしいですね」

ヒソカと話す看護師がそう話を振る。

「……やっぱ、あたし残るわ」

頷くヒソカの隣で、彼女は気だるげにそう応えた。

『うじうじうじうじ。こんなに煩いんじゃ、せっかくおフロに入っても足を伸ばせないわ。乗り掛かった船だから、見届けたげる』

『──っ!ありがとうございます!』

私達が居たところで、あの男性の容態が変わる訳じゃない。でも、彼女の気遣いが素直に嬉しかった。

「あなた、お名前は?」
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