どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】
第4章 異心同体
「拒否するわ。あたしは、ココに転がってる奴らの処置を終わらせなきゃなんないの。その為に、わざわざアンタに頼んでるのよ」
即答する彼女に、ヒソカが人差し指を立てる。
「君が処置する必要が無いとしたら?」
その指先には、小さなオーラが丸くくっついているようだった。
「はぁ?」
彼女は不機嫌そうな声を出す。しかしヒソカは気に留めず、人差し指を釣りの竿を振るように動かした。ひゅん、と伸びるように飛ぶオーラが、少し遠くに倒れる男性の頭にペタリと貼り付く。間を置かず、ペタペタペタ、とまだ手当を施していない人々の頭に、同じようにオーラが貼り付いていった。
両手の各指へ繋がるそれを、ヒソカが両腕を交差させるようにしてぐんと引くと、あちこちで伸びていた人達が横たわったまま彼の周りに頭を揃え並ぶ。
ヒソカは指から伸びるオーラを回収すると、今度は両掌の間で念を練った。そして並べた内の一人に近付くと、ゆったりとした動作で腰を落とし、患部を念でぐるりと一巻きする。
その様子を、彼女は食い入るように見つめた。
『あの怪我を一瞬で処置するなんて!それに、なに?伸縮性と粘着性のあるオーラ……?ねぇサチ、念ってそういう特性があるの?あたしにもできる?』
彼女は自分の周りに留まるオーラを見つつ私に声かける。
『ええと……はいであり、いいえでもあります』
なんと言えば分かりやすいだろうか、と私は思考を巡らせる。
『まず、念自体には伸縮性も粘着性も無いはずです。あれは、ヒソカが自分の念に付加した特性なので。だから、あなたが同じ特性を自分の念に付加すれば、一応同じ性質の念ということにはなります。ただ、念には生まれ持った“系統”というものがあって、それにより得意な事、不得意な事がハッキリ分かれるんです。あなたが、ヒソカと同じ系統でなければ、同じ事をするにもヒソカよりも多くのエネルギーを使う事になりますし、全く使い物にならないかも知れません。たとえ同じ系統でも、熟練度によって精度は天と地ほどの差が出ます。ただ、別の系統だったとしても、結果的に同じ事をする、という事は不可能じゃないと思います。要は使い方次第、というか』
『……なるほど、まず自分の系統を知ることが先ってわけね。にしても、驚いたわ。念って、もっと限定的な使い方しか出来ないんだと思ってた』
