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どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】

第3章 特訓


無事目的地へと着いたタクシーはゆっくりと停車し、私達を巨大な建造物の前に置き去りにした。
夜の暗闇のせいか、タクシーから降りてもそのタワーの頂上は朧げで、星のような光を放っているだけだった。

「サチ、来ないなら置いていくよ」

「あ、待ってください!」

いつの間にか数メートル先にいるヒソカに追い付こうと駆け寄る。思いの外シンプルな印象の自動ドアを抜け、導かれるままにエレベーターに乗り、200階。そして別の、赤地に金色の装飾の施されたエレベーターへと乗り継いだ。恐らく、彼に与えられた個室へと向かっているのだろう。
……んん?個室?男女二人で??
意識した現状に、どきりとする。何だか、気付かなくていい事に気付いてしまったような気が。ホイホイ付いてくる私って、ひょっとして危機感無さすぎ?それとも、自意識過剰?
そんな事を考えている内に部屋へと辿り着く。

「206階、06号室。覚え易いだろう?」

「ええ、はい、とても」

確かヒソカさんの誕生日も6月6日でしたよね。なんて冷静に思うも、心臓はばくばくと鳴っている。いや別に変な想像をしているわけではないのだが、妙に気恥ずかしい。

「今日から出発日まで、この部屋で寝泊まりしてくれて構わない」

「え?」

今なんて?この部屋に泊まる?ってことはヒソカと一緒に?いやまぁお金が無いから寝泊まりする場所も無いしありがたいのはありがたい……けど、女としていいのか私!?

「大丈夫、何もしないよ」

私が、明らかに挙動不審だったのだろう。彼はくつくつとおかしそうに笑った。かっと顔が熱くなる。

「それに、帰りたければ帰るといい。特訓の後、移動するだけの体力が残っていればの話だけど」

ヒソカが意味有り気に口角を上げる。私の顔から、さっきまでの熱が引いた。

「つまり、この場で特訓するという事ですか?」

「ご名答」

私は、室内をぐるりと見渡す。ホテルの一室と思えば広い方だ。でも、トレーニングをするとなると話は別。少なくとも、走り回ることは出来そうにない。

「一体どんな」

「百聞は一見にしかず、だよ」

振り返ろうとした時、背中にどんっと空気砲を当てられたかのような衝撃があった。かと思うと、全身から蒸気の様に、白い霧状のものが噴出している。これってもしや……!
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