どうやら私は死んだらしい。【HUNTER×HUNTER】
第9章 彼らの理由
三兄弟が、こちらに顔を向ける。
「あ?誰だアンタ」
三兄弟の中で一番ガタイのいい男──確かウモリだったか──がそう言った。
「誰でもいいでしょ」
と、サキは気だるげに三兄弟を見る。
彼女と三兄弟の間に、不穏な空気が漂い始めた。
「……行くぞ。コイツはもう終わりだ」
長兄であるアモリが兄弟二人に声を掛ける。
見るとニコルは既に地面に膝を付き、呆然と天井を仰いでいた。
アモリは一度ヒソカに目をやってからサキを見やり、無言で通り過ぎて行く。
その後、ウモリが渋々兄に続き、イモリが慌てて追いかけていった。
「いいのか?あいつら」
「ウモリ、お前も見ただろう?」
「……ヒソカのことか?アイツと言えど、俺達のフォーメーションにかかれば一溜りもないはずだ。あとは細腕の女一人。どうとでもなった」
ウモリは兄の判断を遠回しに糾弾する。
それを受け、アモリは表情を変えず続けた。
「いや、俺が言っているのは女の方だ。ヒソカは当然、マトモにやり合う相手じゃないが……居ただろう?試験前に一人、再起不能にされてたヤツが。アレは、あの女の仕業だ。安易に見くびるべきじゃない。それに」
「それに?」
「獅子博兎。狙うは、確実な勝利だ」
ニッと笑うアモリに、ウモリが片方の口角を上げる。
「兄ちゃんかっけー!!」
とイモリが尊敬の眼差しでアモリを見つめた。
『……あの三人って、やっぱりすごく仲良いんですね!』
『ほっときなさい』
と、私が三兄弟の会話に気を取られている内に、サキはニコルの前にまで足を進めていた。