第1章 criminal<クリミナル> -罪人ー
「それがどうしたって言うの…」
そう言うと、弥生は薄気味悪くほくそ笑んだ。
「さっき廊下を通って行った男子の事だよ!」
感嘆の声と言うより、もはや変態発言にしか聞こえない位の
興奮の仕様。その内、舌でも巻き始めそうだ。
「えっとー、特に何処らへんが…どうっ、とか無いの…?」
何聞いてんだ私…。て言うか、弥生ってこんなんだったっけ?
いずれにせよ、大切な親友のためだ…。
ここは何とか話に合わせよう。
そう思った最中…
「すべてが素晴らしかった」
……ん?
思いもよらない返事に頭の中がこんがらがる。
「へっ、へー。そっかー…」
そう答えながら目を泳がすが、何かもどかしさを感じる。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、弥生は未だ目を
キラキラさせてニコついている。