第8章 表情
「お(れ)、(リ)バウンドと(り)ます!がんば(り)ます!見てて下さい‼」
いつになく早口な早川くん。
気合いの表れだろうか?
ただ、目立つから、もう少し声のボリュームを落として欲しい…。
ただでさえ、ギャラリーは多いのだ。
ちょんちょんと隣の未菜につつかれて、
「…頑張ってね」
と、小さな声で言った。
ニカッと笑みを浮かべる彼は「はい!うぉぉし‼」と頬を叩いて気合いを入れる。
赤くなっている頬にクスリと笑いが零れると、
「その方がいいよ」と未菜が私の頬をつついた。
彼を見ていると、「冷たい」と言われる私の表情が変わって、頬が緩む。