第4章 性格
「葉菜って、残念だよな」
森山だけには言われたくない。
この学年の大多数は私達が双子であることを知っているので、未菜を名前で、私を『作倉姉』と呼ぶ人が多いのだが、森山は逆だ。
私を名前で、未菜を妹と呼ぶ。
因みに、笠松は呼ぶとか以前の問題だ。
「妹ちゃんみたいにもっと笑えばいいのに、なんでそんなにつまらなそうなんだ?」
「楽しいよ。ただ、未菜と違って誰にでも笑顔を振り撒けるわけじゃないの」
「勿体無いな」
「お互い様でしょ?」
私と森山は残念なお仲間だ。
一括りにしてしまうのは、森山に失礼かもしれないけど、
顔はいいのに、行動が残念な森山と
顔は妹と一緒なのに、性格が残念な私。
未菜はモテる。
でも、入学当初から未菜と小堀はべったりだから、未菜には手を出せず、同じ顔をしている私に目を向けた人も少なくない。
ただ…私と未菜は中身が違い過ぎる。
未菜を理想として近づいて来た人達には、『詐欺だ』とよく言われた。
騙したつもりはないし、勘違いしたのはそっちだ。
私は私だ。
未菜の代わりにされるのなんかはゴメンだ…。
だけど、誰よりも未菜を羡み、未菜になりたいと望んでいるのは私だ。
だから…
そんな事がちらほらあって、ここ数年で性格が変わってしまったという自覚はある。