第16章 〜さあ、原作の始まりへ……〜
松田「……嘘だろ………」
それを言いたいのは、陣平お兄さんだけじゃない。
私以外のここにいるもの全員が、目に映った出来事に呆然となった
そう、『新一の体が縮み、幼児化した』ことに……
萩原「こんなこと…普通ありえないだろ!」
中居「こんな話は組織で聞いたことないな…」
伊達「何がどうなったってんだ…」
私は、萩原さんの体から顔を出してさっきの現象を見ていた
話の展開を知るだけに、彼らのように驚いて呆然とはならない。
けれど、私は罪悪感に見舞われた。
胸の内にある感情に、思わず拳を握りこんだ。
もっと注意していればという、後悔。
事をどこか甘く見ていた、自分の愚かさ。
………いや、そんなことより…何より許せない事が一つある。
それは………
椎奈「(…なぜ、私は安心しているの…。自分の知らないストーリーにならなくて良かったから?)」
自分勝手なその思いに、唇を噛み締めた
頬に涙が伝って、手で顔を覆った
椎奈「ごめんなさい…っ。新一……ごめんなさい!!」
全員「「………」」
彼らは何も言わず、ただただ私の頭や肩や背を撫でていた
きっと彼らは感ずいたんだと思う。
これから起こる組織との戦い……。
ここからが、本格的なスタートを切るのだと………。
そこからは、どうなったか分からない。
私は、気付けば自分の部屋にいて…。
泣いても泣いても枯れることない涙をひたすら流し、布団の上でうずくまっていた
椎奈「ごめんなさい……新一……」