第9章 〜私の進路〜
ーーーー翌年の冬
これは、私が寒い空気を感じながら昼間の米花町を歩いていた時だ
チラチラという視線が男女問わず刺さってくるが、とくにおかしな服装をしているわけじゃない
だから無視しているのだが、やっぱり気になってしまう
椎奈「(…昔からなんだよね…)」
理由が分からないだけに、ハァ…と小さく溜息が出る
その時、後ろから声がかかった
女性「…あの、すこしお話いいですか?」
椎奈「え?」
女性「私、こういうものです」
女性が名刺入れから名刺を出した
受け取ってみると、なんと有名な芸能事務所の名前があった
椎奈「どうして芸能事務所の方が私に…」
女性「あなたを見た瞬間にパッときたの!いろんな人を惹きつけるその容姿と雰囲気。モデルの資格があるって!」
椎奈「も、モデル?!!」
なんてとんでもないことを言いだすんだこの人は!!
女性「どう?あなたなら絶対いろんな人から支持される!スポットライトで輝いてみない?!!」
…………………。
ーーーーーー工藤家
最近、両親は父の執筆の〆切が近づくたびに海外旅行へ出かけるようになった
この日もそのせいで両親はおらず、私たちは私の作った料理を食べながら昼間の話をした
椎奈「う〜〜〜……新一、私はどうすればいい?」
新一「それは姉さん自身が決めることだと思うぜ?」
椎奈「でもさぁ、私にモデルできる才能も容姿もないのに…」
新一「(…いや、姉さん自身気づいてないだけでそのオーラガンガン出てんぞ?)」
また「はあああああ…」と長い溜息をつく私に、新一は苦笑いする
新一「姉さんはもっと自身持った方がいいぜ?それに、そろそろ進路とか決めるんだろ?せっかくのチャンスじゃねぇか」
椎奈「たしかに…」
新一「ゆっくり考えてもいいと思うぜ?俺はいいと思うけどな」
そうやって話をまとめると、新一は、ごちそうさまと食器を片付けに行った
椎奈「…そういえば、お母さん昔女優だったんだっけ…」
私は携帯でお母さんに電話をかけてみた