第39章 〜バーボン、始動〜
航お兄さんのそんな呟きの後、全員が沈黙する
「頑張れ」も「無茶するなよ」もない。そんな気楽な言葉をかけられるほど、零さんの歩く道が楽じゃないのは全員が理解していた
そして、毛利探偵たちの事件遭遇率を知っている全員が、零さんが弟子になることがどういう事になるかは予想がついているんだろう
何も言いはしないが、研二お兄さんなんかは俯いている私をじっと見ていた
だが、沈黙が続く中でせめてこれだけは、というように和人お兄さんが零さんと私を見ながら重い口を開く
村田「…くれぐれも油断するな零。組織はNOCの存在に敏感だ…。そして椎奈。さっき零も言ってたけど、絶対に一人で抱え込むな。これは、君一人だけが思い詰めるものじゃない。2人とも、分かったな?」
降谷「ああ。言われなくても分かってるさ」
椎奈「私も。何かあれば、絶対話す」
しっかりと頷いた零さんの隣で、私も、心の重りが軽くなっていくのを感じながら小さく頷き、約束を交わしたのだった───
村田「…ところで、君たちはいつからそんな関係になった?」
降谷「来葉峠の事故の日だ。な? 椎奈」
椎奈「えっ、うん。まぁそうだけど…っていうか、なんでくっつくの?!」」
なぜか同意を求められ、尚且つ私は零さんに肩を抱かれた
恥ずかしくて離れようともがくけど、力が強くて逃げられなあ
それを見た研二お兄さんと陣平お兄さんかま零さんを睨みつける
萩原「爆発しろ降谷」
降谷「おい。それ、元爆発物処理班のやつがいう事か?」
松田「ちっ、リア充が…。俺はまだ諦めねぇぞ…」
降谷「全力で返り討ちにしてやる」
椎奈「…?」
3人の間に、なぜか火花が散った
私はもう逃げるのを諦めることにして、零さんの腕の中でなぜだと頭をひねった
その足元では、ユキが上の状況など無視してぐっすりと寝ていたのだった───