第39章 〜バーボン、始動〜
ーーー数週間後
村田「───へえ。それでこの前ニュースで追いかけられてる映像が映ってたのか」
あの推理対決から何日が経過し、久々に全員で集まろうと中居さん名義の工藤邸付近にあるマンションに来た私
家主の許可を得て台所を借り料理を作りながら、零さんとお兄さんたちに推理対決の結末を話した
和人お兄さんの言うとおり、あの翌日には出没ニュースが報道され、憂鬱に過ごしたものだ
椎奈「そうなの。芸能人も人間なんだからレストランぐらい行くのに、それで追いかけ回されちゃ本格的な息抜きなんてできないじゃない…」
松田「…ま、そのとおりだな
萩原「俺たちの前じゃ変装解いてるせいか、あの時は注意するって選択肢なかったんだよね…」
伊達「悪かったな…」
椎奈「へっ? いやいや、お兄さんたちのせいじゃないし…!」
あの時ファミレスで出会った航お兄さん、研二お兄さん、陣平お兄さんがシュンと項垂れていて、私は慌てて弁解する
椎奈「変装を解いたことを忘れてた私がもともと悪いんだから!ね?」
萩原「椎奈…」
椎奈「もー…はい! この話はおしまい!!」
まだ言おうとする研二お兄さんを遮って無理やり話を終わらせると、全員の前に出来た料理を配った
椎奈「最近はあんまり会えなかったんだし、そういう庇い合いの話は終わりにしましょう? これからの話し合いをしたほうが、有意義に過ごせるじゃない!」
降谷「ああ、そうだな。特にこれからは重要になって来る」
全員「「!!」」
椎奈「(そう。彼のためにも、私はいろんな事件を堪えないといけない………)」
ふと、前の世界で見た彼の関わる事件の犠牲者が目に浮かんだ
助けたい。けれどもし誤って行動を起こせば、彼の任務に支障が出る
そして最悪な結果にはしたくない
罪悪感に胸が苦しくなった私は、机に添えた手を強く握って震えを抑えようとする
不意にその手に褐色の手が重なりハッと顔を上げると、険しい顔で零さんが私を見ていた
降谷「お前1人が抱え込むものじゃない。…俺たちも一緒にその罪を背負う。…命を見捨てる、その罪を…」
椎奈「…!!零さん…」