第37章 〜ボクっ娘との出会い〜
ーーー後日
茜「ええ?! 仕事の本数を減らして欲しい?!」
夕方の仕事帰りの車の中で、茜さんが前を見ながら素っ頓狂な声を上げた
「まだまだ人気なのにどうして…?」と私をチラリと見て聞いてくる
私は『これから起こる数々の事件に備えてです』とは言えず、助手席から窓の外を見ながら適当な理由を並べた
椎奈「いや、なかなかいい出さなかったんだけど…。…最近、この町って事件多いじゃない? 今思えば何度も私はその事件に(だいたい自分から)関わってる。厄年かってくらいトラブルも多いしね…。いっぱい仕事もらえるのは嬉しいけど、トラブルに遭って何度仕事を先延ばしにしたか知れない。相手先の迷惑も考えて、落ち着くまでの間はモデルの本業に専念して仕事を減らしたいの」
茜「………」
椎奈「わがままとは思うけど、ね…」
そう言うと、マネージャーも思うところがあるのか考え込むように黙っている。そして、しばらくの間車内は沈黙した。
車内に響くのは、車のエンジン音とラジオの小さな声だけ
少し長く感じる沈黙だったが、交差点に差し掛かって赤信号で車が止まると茜さんがようやく小さく息をついて私を見た
茜「…そうね。椎奈がそう思うのら、私は構わないわ。今まで立ててきた仕事の予定はもう変更できないけど、今後の予定はあなたの要望通りにしてみる」
椎奈「! ありがとう、茜さん」
少しわがままが過ぎると思っていたが、茜さんの表情はむしろ私の提案に対して安堵した笑みを浮かべていた
おそらく、私が言い出さずとも彼女も心の奥底で仕事の量を減らした方がいいと考えていたんだろう
それにホッとした私も感謝して微笑み返すと、さっそく次の仕事に関する資料を鞄から取り出した
そして何気なく窓の外をチラリと見てみると、制服姿の蘭ちゃんと園子ちゃん。さらにはこの前出会った世良ちゃんと、足元にはコナンくんがいて学校帰りに4人で歩いていた
椎奈「(あの4人、私が知らない間にもう出会ってたのね…)」
これはいつ何時どのタイミングで何が来るかホントにわからないな、と私はその4人を眺めながら苦笑いした───