第37章 〜ボクっ娘との出会い〜
ーーーそして数日後……
新しいマンションでの生活にも慣れてきたこの日
自身の膝の上で丸まって寝ているユキを撫でながら、私は電話相手に苦笑いの対応を取っていた
蘭《もう、引っ越したなら教えてくださいよ椎奈お姉さん!!》
椎奈「ははっごめん、蘭ちゃん。私だってまさか家に来て居候の大学院生に蹴り入れるなんて思ってなかったんだよ…」
蘭《仕方ないじゃないですか!! お姉さんに挨拶しに行ったら知らない男の人がいたんですよ?! それで泥棒かお姉さんのストーカーじゃないかって園子が言い出してーーー》
それから数分間、彼女から事のあらましと引っ越しのことはきちんと連絡してくれという注意が成された
私はそれにひたすら「ホントごめんね」と謝り続け、最後に蘭ちゃんから「とりあえずなにもなくてよかったです。ストーカーと泥棒には気をつけてくださいね?」と言われて電話は終わった
……さて、蘭ちゃんに強烈な一撃を与えられた彼は無事なのだろうか…。
前の世界ではどうって事なさそうだが、心配になった私はすぐさま沖矢昴さんのアドレスをタップし、電話をかけた
prrrrrr……
沖矢《…はい?沖矢です》
椎奈「あ、沖矢さん。椎奈です。顎と首、大丈夫でしたか?」
沖矢《ええ。なんとか間一髪避けれましてね…》
椎奈「だと思いました。さすがはアメリカのエージェント」
沖矢《おや、それはなんの事です?》
電話越しに、ふしぎそうな声を出しながらその実ニヤリと笑ってる沖矢さん…基、赤井さんが想像できた
それにため息をつきながら、彼を慌てさせてやろうと彼の話を引っ張りだす
椎奈「…そういえば赤井さん、今後のあなたにとって困った事になりました」
赤井「…困った事?」
相手の声が沖矢さんから赤井さんに変わった。その変化に不意で少し驚きつつ、声を潜めて話した
椎奈「安室さんに、あなたが生きている事が私の態度でばれました」
赤井「ホォー」
椎奈「………それだけですか?」
赤井さんが簡単な相槌だけして無言になったので、思わずそんなツッコミをしてしまった
彼にとって最悪と言える報告にもかかわらず、彼はそれだけにすましてしまったのだから