第22章 〜黒の組織から来た女〜
椎奈「じゃあ、哀ちゃん。紹介したいのこの人なんだけどーーー」
灰原「っ?!!」
私が中居努さんを部屋に入れた途端、哀ちゃんは目を見開いて怯え出した
それを見て、組織の人間を見分けられることを思い出し、安心させるように笑った
椎奈「哀ちゃん、怖がらなくても大丈夫。この人、いい人だから」
灰原「…え?」
村田「この子が例の?」
椎奈「そ。灰原哀ちゃん。本名は宮野志保ちゃん。明美さんの妹さんだよ」
村田「宮野志保…。ああ、『シェリー』か」
灰原「!!」
コードネームを言われた途端、哀ちゃんは私のパッと後ろに隠れた
椎奈「え?!哀ちゃん?!」
灰原「……」
哀ちゃんはただ怖い顔で和人お兄さんを睨みつける
すっかり組織の人間と誤解してしまってる
それが分かった和人お兄さんが苦笑いになり、哀ちゃんの目線にしゃがんだ
村田「はじめまして、宮野志保ちゃん…いや、灰原哀ちゃん。俺の名前は村田和人。近所では偽名の中居努で通ってる。ちなみに、コードネームは『スコッチ』だ。公安のNOCとして潜入していたよ」
灰原「?!スコッチって…ライに打たれて死んだはずじゃ?!」
村田「君のお姉さんと同じだ。椎奈に生かされたんだよ。あと、ライが打ったんじゃなく、俺が自殺しかけたんだ」
灰原「!そうだったのね」
誤解は解かれ、哀ちゃんはおずおずと少しだけ体を離した
灰原「…紹介したい人がNOCの人間なのは驚いたけど、身近に理解のある大人がいるのは助かるわ」
村田「だろ?なんか組織関連であったら、俺に言うように」
灰原「ええ。分かったわ。ちなみにこれ、工藤くんは知ってるの?」
椎奈「知らないよ。知ったら組織のことばっか聞いてきて、節度ある行動できなくなっちゃう」
そう、これは新一のためだ
たしかに、と頷く哀ちゃんに、さすが新一の相棒、と思ったわたしだった