第17章 ちょっと借りるぜ。
「遊んでる暇は無いぞ。」
『せめて観覧車だけでも……』
カナエ達はシャボンディパークまでやって来た。高い所は苦手だが、観覧車に乗ればシャボンディ諸島が見渡す事が出来ると思って年甲斐もなくワクワクしていた。
しかし、ローは飽くまで見るだけだと言って、遊ばせてくれない。
シャボンディ諸島に上陸した目的は船のコーティング。今はコーティング職人を捜すのが先決だ。
(連れてってくれるから、てっきり遊んで良いかと……何故………。)
カナエはガックリしていた。
けれど仕方がない。海賊が遊園地で遊び呆ける訳にもいかない。近くまで連れて来て貰っただけでも良かったと思わなければ。
諦めかけていると、ペンギンがローに何やら耳打ちをしていた。
(何だろ………?)
すると、ローはカナエの方ににやってきて、腕を掴みシャボンディパークへ足を向けた。
「観覧車だけだぞ」
『えっ!良いんですか!?やった!!………あれ?皆は行かないの?』
船員達を見ると、いってらっしゃい、と手を振っている。
「俺達はコーティング職人を探して来るから、ゆっくりして来いよ!」
『そうなの!?何かありがとー!』
カナエは落ち込んでいたのが顔に出ていたのかと、申し訳なく思いながらローと共に観覧車へ向かった。
(気を使わせてしまった………)
「ペンギン、キャプテンに何て言ってたんだ?」
「カナエが、船長とデートしたいんじゃないかって言ったんだよ。」
そう言った途端に、カナエを連れて行ってしまった。
我らが船長は意外と単純な様だ。
「カナエ限定かな………」
「何だよ~!俺も行きたかった~!」
「邪魔しちゃ悪いだろ、シャチ。」
「ペンギンは気が利きすぎだ………」
「出来る男なんだよ、俺は。それに、二人とも楽しそうにしてる方が良いしな。」
「それは同感。」
「俺も!」
気が利く船員達はコーティング職人を捜す為、シャボンディパークを後にした。