第3章 貴方を忘れる為に
「...マジで?え?..うわっマジか!!!」
勢い良くブランコから立ち上がって一人ガッツポーズをしている茜にもう一度釘を刺す。
「いまは仮だからね、仮彼氏!!」
「分かってるよ!!お前を惚れさせればいいんだろ?」
楽勝楽勝、と舞い上がっている仮彼氏を見て、そんなに嬉しかったのか、とつい笑ってしまった。
「..やっと笑った、」
「ん?何?」
「いや、こっちの話!!」
私に聞き取れないような小声でなにか呟いたが、なにを話したのか問い詰めようとしたとき
「..びぇっくちっ..さぶっ..」
もう寒いのが限界になり、くしゃみをしてぶるっと身震いすると、茜は慌てた様子で
「あっ、寒いのか?じゃあ早く帰んねえと...ほら、行くぞ」
と、私の手を強引に引っ張り、恋人繋ぎをした。
...ポケットに入れてくれた方が、あったかくていいんだけどなぁ、まあ、茜はもうすでに今から私を惚れさせようとしてるみたいだからいいか。乙女心ってやつを学習してくれないと困るし
「...お」
茜と私が一緒に帰っている所を目撃した男がふとスマホを取りだし写真に撮った。