第5章 踏み出したいのに
....はぁ...
昼休みのガヤガヤうるさい教室のなかで一人どんより机に突っ伏している。
茜は今はどっかで誰かと遊んでいるんだろう、近くに居ないだけで今はいくつか気持ちは軽い。
「めんどくさ....」
携帯をチラッとみて相手、hotaruとかいう奴からのメールがきているか確認した瞬間、ブブ、と携帯が小刻みに振動し、メールが来たことを伝えた。
『放課後じゃなくて今屋上に来て』
用件は短くそれでいて簡潔なので理解するのに時間は掛からなかった。
「.....今の方が都合がいいし..はやく終わらせよう。」
憂鬱な気分をすぐにでも吹き飛ばしたい。微熱ぎみの頭の回らないままこっそりと教室を抜け出して屋上へ向かった。
ギィ....
重たい扉を開け、右側のフェンスに寄りかかっていたメッセージの相手であろう男の人物と目があった。
相手は私が思っていたよりも遥かに、いやその上を行く位の美形で、ひかるや茜とはまたちがった大人な雰囲気を醸し出していた。どこかでみたことあるような..?というかネクタイが同じだから同学年??
「や、こんにちは。」
「...用って、何」
にこっと微笑みながらいう彼に敵意むき出しにそう言葉を放った。
「先ずは自己紹介からするね、僕は姫野 陽斗(ひめの はると)、こうやって会話をするのは初めてだよね?凪さん。」
「....」
「無視はひどいなぁ、何処かで僕の話題とかあったでしょ?」
「見たことは在るけどあなたのことは知らない。」
「あれ?その様子だと勘違いしてる?」
なんのこと?と聞くと、彼は言った
「あの写真ぼくのじゃないよ?」