第8章 エピローグ
「すごいな…揉みくちゃにされたよ」
そう言う斗真もボタン、ネーム、ネクタイ、そしてジャケットもなくなっていた。
「さすが人気の斗真くんですね〜」
そう言うと、彼は私の手を取り何かを握らせた。
「第二ボタン、取っておいたから貰ってくれる?」
「奇遇だね、私も取っておいたよ」
お互いジャケットのボタンを交換して笑いあった。
「お熱いね〜、2人とも!」
そんな私たちに声をかけてきたのは蒼茉さんと由羅さんだった。
実はこの2人、結婚したのである。
「由羅さん、蒼茉さんっ!」
私は彼らに飛びついて、抱きしめ合う。
「おめでとう、優里、斗真」
「ありがとう、由羅さん」
どうなることかと思ったが、生活に困ることなく幸せに暮らすことができた。
ちなみに私達は今後、蒼茉さんの会社で働くことが内定している。
とにかく何事もうまくいってるのだ。
これも全て、あの日蒼茉さんと吉原で会ったことから始まった。
いろいろあったけど、斗真、蒼茉さん、由羅さんという理解者もいる。
「「今までありがとうございます!
これからもよろしくお願いします!」」
桜舞うこの日、私はまた新たなスタートを切る。
〈私は吉原のお姫様 fin〉