第8章 エピローグ
ー2年後ー
「続いて卒業生からのお言葉。
代表生徒の3年B組、齊藤 優里さんお願いしますっ!」
「はいっ!!」
厳かな雰囲気が漂う卒業式の真っ只中、私はステージへ登壇した。
「雪も解け、春の日差しが照らす中私達は137名は卒業を迎えました。………」
決まった挨拶で眠たくなるような文を読み上げる。ここから見てもわかるが何人もの生徒の頭が下を向いている。
こんなのはいつもの私らしくない。
私は生徒を、みんなを楽しませたいんだ。
ービリリリッ
私は持っていた原稿を破り捨てて、スタンドからマイクを外す。
「今までの言葉は忘れてください。
ここからは私の言葉で話しますっ!
私は3年間、生徒会長という役職に就き前代未聞のことをして来ました。
それは全て生徒のためを思ってのことでした。決してあんな文を読むためではありませんっ」
そこまで行った時止めに来た教師がステージに登ってきたのが見えたので、私は代わりに降りる。
「今までにこの場でこんなことをした人はいますか?
私は型にはまりたくない、その必要は絶対にない、そう思うのは悪いですか?」
生徒が座る椅子の間を通りながらそう言うと、みんな私を見て笑っていた。
「最後の登校日であるこの日に、私はみんなのこんな堅苦しい顔じゃなくて笑った顔が見たい。欠伸じゃなくて笑い声が聞きたい。そう思ってるのはきっと私だけじゃないです」
3年生の前に行き、起立の号令をかける。
「私の後に続いてくださいっ!今までありがとうございましたっ」
「「ありがとうございましたっ」」
ぴったりとした礼でそう言うと、体育館には拍手が響いた。
「これにて、卒業生代表の言葉を終えらせて頂きます」
スタンドにマイクを戻して、私の挨拶は終わった。
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「優里の挨拶良かったよ、先生方の顔最高だった!」
なんてクラスのみんなに「よくやった!」も頭を撫でられたりした。
「さ、締めくくるよっ!!花道通るぞ〜〜!」
「「「「お〜〜!」」」」
そうして私達はテンション高く、花道を通る。
通り終わって玄関に着いた時には私の制服からはボタン、ネーム、リボンなどがなくなっている。
代わりに増えたのは大きな花束や手紙だった。