第3章 いつもの昼、いつもの夜
部屋に入ると、ベッドへと投げられ
少しバウンドする。
「ふぅ、危なかったぁ〜」
そう言って、水を飲んでいる男性。
短髪で爽やか系の整った顔立ち、歳は20代ほどだろう。
初めて見る顔なので新規の客。
ドサッと自分もベッドに座り込み、私に話しかけてくる。
「『吉原のお姫様』は人気ですね〜?」
吉原のお姫様と言うのは私の事だ。
お客様の誰かがその名を広めたらしい。
意外とあの街では私は有名で、
そこらの店より格安でヤレるし、しかもJKだからと人気なのだ。
「んっ!代金話してなかったね〜。
いくらがいい?」
「最低18000円ですよ、フェラだけならとかは別ですがね?」
私がはだけた制服を直しつつ、そう言うと隣で爆笑された。
「こんな可愛い子がwフ、フェラって言ってるww」
そんなに可笑しいだろうか。
こんな仕事をしてるのだからしょうがないだろう。
「コホン。えっと、とりあえず3万円!
で良いかな?」
「はい、大満足です!」
そう言うと、彼は先にお金を払う。
これもルールである。
終わった後にいちゃもんつけられたらたまらないのだ。
もちろん、私も逃げたりしない。
逃げたりしたらあっという間に詐欺扱いで、私の収入源がなくなる。
「よしっ、お風呂入ってくるから適当にくつろいでて!カバン中に食べ物あるから良かったらどうぞ!」
手をヒラヒラさせて、彼は脱衣所へと消えてった。
なんというか無防備すぎる。
悪い人ならこの隙に財布から金を盗んで、ついでに食べ物も奪って逃亡するだろう。
まぁ、私はそんなことしないけど。
そのままベッドに寝転がり、しばし休憩。
シャワーの水が流れる音。陽気な鼻歌。
外で車が通る音。廊下から聞こえる話し声。
全てに耳をすませながら、彼を待っていた。