第5章 ついに始まる学校祭
着々と開祭式が進み、ついに私の出番となる。
「次に生徒会長、挨拶」
私は大きく返事をして、登壇する。
全校生徒、一般の方の視線が全て集まり、とても緊張する中私は話し始めた。
「みなさん、待ちに待った『如月祭』は楽しみですか?この日までたくさんの争いやトラブルがあったと思います。
私も先日、地下に落ちて病院送りになりました」
そう言うとかなりの笑いが起きたので掴みはバッチリだ。
「…………です。それでは全校生徒の皆さん、一般の方からお金をふんだくってこの学校にテレビを設置できるよう頑張りましょう!!!」
そう締めると先生方は渋い顔をしているが、全校生徒の士気は高まったから良しとする。
それからのコントは面白かったし、よさこいも十分迫力があったので開祭式は満足の出来だった。
私と斗真は急いでクラスに戻るとみんな衣装に着替えていた。
明らかに女装だと分かる野球部と柔道部の男子がドレスを着てて面白い。
教室も暗幕カーテンにラメやスパンコールやミラボールでかなり派手にしていて、なかなかクラブっぽい。
『男女逆転、ホスト&キャバ風café』もなかなかうまくいきそうで安心だ。
「2人とも、早く着替えて!!」
クラスメイトにそう言われ、私達は早く着替えた。
今日は昨日、最初に着たチャラい感じのホストに着替えた。
更衣室から教室に戻ると女子からは歓声、男子からは嫉妬の視線が注がれた。
「優里、あとで絶対写真撮ろう!」
「めっちゃイケメンだ、もう男になれば?」
などと話していると次は男子から歓声が、女子は嫉妬の視線を送っている。
視線の先を見れば、真っ赤なドレスに身を包んだ斗真だった。
「やっぱ恥ずかしんだけど……」
そう言って長い髪のカツラで顔を隠そうとしているのがまた可愛い。
「いいじゃん、綺麗だよ?」
私が斗真の横に立つと「ベストカップルだ」と囃し立てられた。
それからそれぞれの名札が渡され、私はスーツのポケットにつける。
私のには「ゆうり」と書いてあるが、斗真のには「とう子」と書いてあって爆笑してしまった。
そんなことをしていたらいつの間にか一般公開の時間まで残り10分だ。
私達は大慌てで食べ物や飲み物の準備をした。