Nachtigall im Kafig(進撃:リヴァイ夢)
第1章 Nachtigall im Kafig
あの日、超大型巨人が私の住んでいたシガンシナ区を襲った。破壊された壁からぞろぞろと数多くの巨人が壁内に傾れ込むように入り、次々と住民を食らう。幸いにも、私の家は壊された壁の位置からは割と遠かった。逃げる時間と余裕が、微々たるものながら、他の者達よりもある。私は木の枝にぶら下げた鳥籠を取るために、庭へと向かった。
まだ子供で背の低い私は椅子を部屋の中から引っ張りだし、それに乗って鳥籠に手を伸ばす。何としてでも友達である小鳥を助け出したかった。しかし、籠に触れたは良いものの、人々の悲鳴が近づいてくるもまた事実。恐らく巨人達がもうここまで歩き進んだのだ。
もう時間がない。落ちないよう念入りに深く引っ掛けた鳥籠を外すのは無理だろう。今この瞬間に逃げなければ、私の命はない。そう思って私は鳥籠を外す作業を止め、籠についた扉を大きく開いた。
きっとこの子は賢いから危険を察して籠から逃げるはずだ。そしてその小さな体を大空に羽ばたかせながら自由に生きるだろう。小声でさようならを告げた私は、その場を去った。そのままウォール・ローゼ内へ向かう避難船を目指し、私は走る。